日帰りで高野山に行こうと思っているけど、実際高野山のどこに行けばいいか分からない!とお悩みのあなた。
高野山に2年間住んでいた筆者が、初めて高野山に訪れるならぜひ行って欲しいおすすめの3箇所をご紹介します。
結論から言えば下記の3つです。
- 金剛峯寺…高野山真言宗の総本山
- 壇上伽藍…弘法大師・空海が着工
- 奥の院…弘法大師の御廟
初めて高野山に行くならこの3つは外せないと思います。
理由をこれから解説していきますが、せっかくなので高野山について少し説明します。
まず、行くときに気をつけることとしては季節と服装です。
高野山は山の上にあるので、気温が違います。
おすすめの季節としては5月〜10月。
どの季節にしても5℃は気温が低いので羽織りものを持っていくと安心です。
特に早い紅葉も楽しめる10月は気候的にもいい時期です。
和歌山県の北部にある高野山は平成16年(2004年)に吉野、熊野とともに「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコ世界遺産に登録されています。
アクセスは電車でも車でも行けますが、どちらにしても山登りだけで30分〜1時間は掛かります。
登っていくと海抜約850メートルの山の上に、突如平坦な町が姿を現しそこが高野山です。
山登りの景色から、山の上でパッと視界が変わるそれだけでも非日常の体験ができると思います。
高野山の開創は今から約1200年前、平安時代の816年に弘法大師・空海によって始められました。
なぜそんな山の上に弘法大師は高野山を開創したのでしょうか。
その理由を知るためには、弘法大師が朝廷に宛てた手紙を見てみるのがいいでしょう。
その手紙には、
「紀伊の国、伊都の郡の南に位置し、平原の幽地になっている高野山は四面が高い峰続きで、人の通るような道がない、修禅の場所として最適と思われるので、なにとぞ下賜願いたい」
という趣旨が書かれています。
つまり、大自然に囲まれた山の中で修行をするための場所が高野山なのです。
現在の高野山には117の寺院があります。
これだけお寺があればどこに行っていいか分からないですよね。
そこで上記のおすすめ3選を順番に見ていきましょう。
金剛峯寺
総本山金剛峯寺は高野山の町のちょうど中央部にあります。
車は正面の駐車場に無料で停めることが出来ます。
電車でしたら高野山駅からバスで約15分です。
金剛峯寺の表門を潜り抜けると、正面に主殿が現れます。
主殿の大屋根の上には二つの天水桶が載っていて、珍しい貯水設備が見られます。
正面から右側にまわると拝観の入り口があります。
中に入ると、広間が続き、狩野派の襖絵や、豊臣秀次自害の間や歴代天皇御尊儀のお位牌を見ることが出来ます。
順路に沿って奥に進むと、休憩が出来る新別殿や、国内最大級の石庭の蟠龍庭、ぐるっと回った台所で3つで1度に約2000人分のご飯を炊ける大きな釜を通って再び拝観の入り口に戻れます。
入り口まで戻ってある事に気が付きます。
「あれ、仏像を見ていない」
お寺に必ずある本堂が別の場所にあるのです。
もともと高野山は開創以来、山全体を金剛峯寺と呼んでいました。
明治維新の太政官達により、制度の上で高野山全体を統括する寺院が必要になり、もともと学問に専心する僧侶の統括寺院だった青巌寺(せいがんじ)と隣接していた興山寺(こうざんじ)を統合して総本山・金剛峯寺となりました。
高野山全体を金剛峯寺というお寺として考えて開創したので、高野山の本堂は壇上伽藍の金堂になります。
それでは金剛峯寺から歩いて西へ、壇上伽藍に向かいましょう。
壇上伽藍
金剛峯寺から歩いてすぐに伽藍へ続く参道に入れます。
車は金剛峯寺の駐車場に停めたままで大丈夫ですよ。
この参道は通称蛇腹道(じゃばらみち)と言って、10月の半ば頃には紅葉が綺麗なところです。
壇場とはもともと曼荼羅道場を表す言葉ですが、伽藍が一段高い場所にあるので現在は壇上が一般的に使われます。
弘法大師は高野山開創の際、最初に整備を始めたのが壇上伽藍です。
弘法大師の密教の理想と思想をここに表そうとしました。
それでもなかなか工事が進まず、伽藍の完成には弘法大師入定後約半世紀かかります。
逆に言いますと、高野山の中でも弘法大師の名残りがあるのはこの壇上伽藍だけです。
蛇腹道を進むと右手に大きな二層の塔が見えてきます。
根本大塔です。
根本大塔
高さは約49m。
現在の塔は昭和12年(1937年)落慶の鉄筋コンクリートでの再建です。
多宝塔様式の建物と言って、
多宝塔様式とは簡単に言うと、初層の面が四角、上層の面が円形の二層の塔のことです。
本尊は胎蔵大日如来で、周りを金剛界の四仏が囲みます。
さらにその周りの16本の柱には十六大菩薩が、四方の壁にはインド・中国・日本へと密教を伝えた8人のお坊さんが堂本印象によって描かれ、堂内そのものが曼荼羅として構成されています。
金堂
金堂は高野山全山の総本堂です。
本尊は薬師如来ですが阿閦(あしゅく)如来と同一としてみることもあります。*秘仏になっています。
現在の金堂は昭和9年にこちらもコンクリート構造で再建されたものです。
根本大塔と金堂のどちらも鉄筋コンクリートで再建しているのは、余程火災に気を配っているのでしょうね。
内部の壁画は壁画は八供養菩薩などが木村武山によって描かれています。
本堂でお手を合わせてから、金剛峯寺の駐車場に戻りましょう。
車、もしくはバスに乗って奥の院の駐車場に向かいます。
奥の院
金剛峯寺から東へ車・バスで5〜10分ほど進むと、奥の院・中の橋駐車場があります。
奥の院と書かれた門を抜けると、そこは杉の大きな古木に囲まれた石畳の参道が続きます。
参道の両側には誰もが知っている武将や大名の石塔や墓石が、庶民の墓石と共に静かに並んでいます。
織田信長と明智光秀、上杉謙信と武田信玄など、浮世では敵同士であっても死後は高野山で共に眠っているのです。
歩いていくと杉の大木が天を覆うようになり、苔むした墓石が並びます。
そこには一種独特の空気が流れているのを感じられるでしょう。
15分くらい進むと、御廟(みちょう)の橋という橋に出ます。
ちなみにこの橋も現在は鉄筋コンクリートです。
この橋を渡ると奥は聖域です。
橋を渡り、階段を登ると正面が灯籠堂です。
灯籠堂を左からぐるりと真裏へ抜けると正面が、弘法大師御廟(ごびょう)です。
弘法大師はここに入定し、今も深い深い禅定に入られているという大師信仰、入定信仰の中心地です。
この弘法大師の近くで眠りたいと願った人々が参道に並ぶ墓石群となり、時代を超えた懐の深さが感じられます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
もし高野山に初めて行くならこのコースを回れば十分だと思います。
補足をしますと、壇上伽藍に入るには中門と呼ばれる門から入るのが好ましく、奥の院ももう少し手前の一の橋から参拝する方が正式とされています。
ただ歩く距離や時間を考えて効率よく回るのに今回のコースを紹介しました。
これからの10月は高野山は紅葉が始まり、季節的にもおすすめの季節です。
ぜひ一度、行ってみたください!