本書の帯には、「スティーブ・ジョブズが愛読した禅のバイブル。世界24ヵ国以上で翻訳。アメリカに坐禅をもたらした鈴木俊隆師の記念碑的な禅の入門書。」と紹介されています。
スティーブ・ジョブズをはじめ海外の人々が、禅に何を求めたのか気になりますよね。
本書は鈴木俊隆氏のアメリカでの法話をまとめたもので、以下の3部に分けられています。
第1部 正しい修行
第2部 正しい態度
第3部 正しい理解
難しい仏教の言葉はほとんど出てこないので、初心者の方にも読みやすく、
禅の入門書としてもおすすめ出来る本です。
それではみていきましょう!
初心者の心を持ち続ける
初心者の心には多くの可能性があります。しかし専門家といわれる人の心には、それはほとんどありません。
引用:鈴木俊隆 松永太郎訳 2012 『禅マインド ビギナーズ・マインド』P32
初心者の心とは、ものごとをありのままに見て、どんなことも受け入れることの出来る心です。
皆さんも同じことを2回、3回と繰り返すと、「次はこうしよう」という様な自分なりの考えを持つと思います。
しかし、禅の修行に自分中心の思考は必要ありません。
どのような自分中心の思考でも心の中に限界を作ってしまうからです。
初心には無限の可能性があります。
難しいのは、その初心者の心を持ち続けることです。
つまり、禅の修行の目的は、初めての心を保ち続けることです。
正しい修行
正しい姿勢で坐禅だけをすることです。なにも考えてはいけません。ただ何も期待せず、坐蒲の上に座るのです。やがて、あなたは、自分の本性を取り戻します。
引用:鈴木俊隆 松永太郎訳 2012 『禅マインド ビギナーズ・マインド』P93
ここで言う本性は仏性とも言い換えれるでしょう。
坐禅とは、私たちの本性の表現です。
なので、正しい姿勢で坐禅することが大事になります。
身体を前後、左右に傾けず、自分の頭で空を支えているように、まっすぐに座ります。
正しい姿勢とは、すべてをあるべき場所に、あるべきように保つことです。
この正しい姿勢をとるとき、心はすでに正しい状態にあります。
正しい姿勢で座ったときの心の状態そのものが悟りです。
つまり、特別なことを得ようとせず、ただ「座る」ことです。
正しい態度
それでは、なにも得ようとしないで坐禅をするとはどういうことでしょうか。
それは、余分なものを取り除くことです。
私たちは、自分の行ったことを忘れるべきではありませんが、そこに余分な痕跡はとどめないほうがよいのです。
引用:鈴木俊隆 松永太郎訳 2012 『禅マインド ビギナーズ・マインド』P123
痕跡をとどめないためには、何かをするときに、心と身体の全部で行うことです。
つまり、一瞬、一瞬、今、この瞬間に行っていることに完全に集中するということです。
今、この瞬間にできることに集中することで、自分の活動を最小限に制限し、余分を取り除けます。
正しい姿勢を保ち、座ることに集中する、それが普遍的な本性を表す道です。
そのとき、私たちは仏性を表します。
正しい理解
教えの深い理解よりも、自分たちの教えに対する強い信頼が必要なのです。その教えは、私たちは本来仏性を持っている、といっています。
引用:鈴木俊隆 松永太郎訳 2012 『禅マインド ビギナーズ・マインド』P198
坐禅をしようとしまいと、私たちには仏性があります。
仏性があるがゆえに、私たちの修行の中には悟りがあるのです。
また、なにをしようとも、あるいはなにもしなくても、悟りは常にあるのです。
つまり、悟りは達成するものではありません。
重要なのは、自分自身の本来の仏性に対する強い信頼と、修行の真剣さです。
もともと仏性を持っているからには、正しい坐禅をすればブッダと同じふるまいををするはずですし、
しなければなりません。
別に、知的に禅を理解する必要はありません。
私たちはただ坐禅をします。
大事なのは今、ここであって、いつか来る未来ではありません。
私たちは今、ここに、一瞬一瞬に最大の努力を払うのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
禅の関する本は小難しい分かりづらい書物が多いですが、この本はとても読みやすいのがポイントでしょう。
禅の本を初めて読む方にとてもおすすめできる本です。
この機会に早速手に取ってみてください!